6000系電車

製造:1983〜86・88〜92
上信急行のほぼ全路線にて運用可能な汎用車3000系と、専ら大宮線にて運用している7000系の設計思想を折衷した車両である。

製造に至る経緯

1977年から3000系に代わる新たな汎用一般(通勤)車として7000系の製造を開始・増備し、1980年迄に一定数が大宮線に揃ったが、同型式は東上線へは配置せずに1979年から新3000系の増備を開始した。それに関しては諸般の事情があったのだが、本稿では詳述しない。
斯くして東上線へは3000系の投入が続いた訳だが、同線にも省エネ対応の車両を投入しようという機運が高まった。その際にも7000系の投入を検討したが、またしても諸般の事情により立ち消えとなり、前述通りに設計・製造開始した車両が当型式である。

新製時の概要

1983〜86年製造の0番台と1988〜92年製造の50番台に大別する事が出来る。
前者はN3000系類似の車体と7000系同様の走り装置を備え、後者は前者に加え9000系の設計思想を採り入れており、共に編成単位で併結可能である。

6000系・6050系併結

0番台

1983〜86年新製の1〜4次車である。
8両固定と2両固定の各編成が存在し、組成する車種型式は前者がTc1(クハ6100)、M1(モハ6200)、M2(モハ6300)、M1(モハ6400)、M3(モハ6500)、M1(モハ6600)、M2(モハ6700)、Tc2(クハ6800)で、後者がMc(クモハ6900)、Tc(クハ6000)である。
組成内容は下掲の通り。

6000系電車

車体・車内設備

車体は新3000系とほぼ同じだが、前面形状と側窓構造に変化が生じ、側面に行先・種別表示幕を設置する等の差異が見られる。
側窓構造は窓枠・水受一体型・外嵌め式アルミ製ユニット構造とし、防錆対策を進めた。ユニット構造は7000系1〜3次車にて窓ガラス部分の建付が悪く、新3000系では5000系と同様の非ユニット構造・アルミフレームレス構造に戻した経緯があるが、当型式は普通鋼製車体における下降式窓では不可避な防錆性と、アルミフレーム付ガラス起因の建付の悪さの双方を、可能な限り排除する事に腐心した。尚、一連の流れは後年、オールステンレス車体の採用により解決と相成った。
車内設備については、天井部の冷風吹出口の形状をスポット型からラインフロー型へ変更し、冷風がより均一に吹き出すよう改良した(その後新製した車両の標準様式となった)。

走り装置・主要機器

走り装置は7000系とほぼ同じだが、台車は軸箱支持装置が従来のSミンデン式を改良したSUミンデン式に変更している。
制御装置と集電装置はM1車とMc車に、補機類はM2車に電動発電機(140kVA)と電動空気圧縮機(2,130L/分)を、Tc車に同(70kVA)と同(1,590L/分)を備えている。尚、電動発電機は上急初の交流電動機駆動、所謂ブラシレス化して保守・点検の省力化を図っている。

50番台

1988〜92年新製の5〜9次車である。0番台の製造は1986年を以て一旦打ち切ったが1988年に再度増備を開始、その際に9000系の設計思想を採り入れた。
2・4・6・8両固定の各編成が存在し、組成する車種型式はTc1(クハ6150)、M1(モハ6250)、M2(モハ6350)、Tc2(クハ6450)、T(サハ6550)、M3(モハ6650)、Mc(クモハ6750)、Tc(クハ6850)、T1・T2(サハ6950)の9車種をそれぞれ組成している。
組成内容は下掲の通り。

6050系電車

9000系同様の軽量ステンレス車体を採用し、車内設備もほぼ同一の意匠である。先頭車前頭部も強化プラスティック成型による構成は同様だが、形状は0番台類似のものとしている。

走り装置・主要機器

制御装置は0番台同様の界磁チョッパ方式である。
台車・主電動機は9000系とほぼ同一(定格:端子電圧375V・出力150kw・回転数1,490rpm)のものを使用し、車体と台車の軽量化(1両平均5〜6t)によりMT比1:1としている。それにより0番台にはやや及ばないものの、歯数比を87/16=5.44に変更して遜色なき走行性能を維持している。 補機類はM2車に静止型インバータ(140kVA)と電動空気圧縮機(2,130L/分)を、Tc車とT車に同(70kVA)と同(1,590L/分)を備えている。

現況

新製当初は東上線だけでなく大宮線にも配置し地上線専用の運用に就いていたが、大宮線の車種統一により2003年以降は東上線系統の平坦線区に集結した。全車両が現存している。