7000系電車

製造:1977〜79・85〜87

製造に至る経緯

1973年秋に発生した石油危機をきっかけに、上急では車両の省エネ化を検討し始めた。1969年以来汎用車として増備が続いていた3000系は現場で扱い易く、乗客にも好評な車両であったが、電力の有効利用という点においては疑問符の付くものであった。当型式は斯様な状況を斟酌しつつ、都営6号線(三田線)乗入対応車の増備に新たな設計思想を盛り込む事とし、尚且つ当時計画中であった営団13号線への乗入も視野に入れた新たな汎用車として設計・製造した。

新製時の概要

車種型式・組成は1位寄から6両固定編成がMc1(クモハ7100)-M2(モハ7200)-M1´(モハ7300)-T(サハ7400)-M1(モハ7500)-Mc2(クモハ7600)で、2両固定編成がMc(クモハ7700)-Tc(クハ7800)である。M1車とM3車は同一構造で、T車は将来のM車化(後述:8両固定のM3車となる)を前提とした構造である。Mc1・M1・M3・Mc車には制御装置と集電装置を、M2・Mc2・Tc車には補機類を装備している。

車体・車内設備

車体長19,500mm・幅2,800mm・両開き4扉・ロングシートの構成なる一般(通勤)型車両の標準形を継承している。側窓は5000系で採用したバランサ付一段下降式を踏襲しているが、製造工程の簡略化を図る一環として外嵌め式ユニット構造・アルミフレーム付ガラスを新たに用いている点も相俟り、全体的に角張った外観が特徴である。

7000系電車

尚、中間連結面の貫通路は幅800mmとし、Mc車とMc1車を除く1位寄貫通路には自動閉扉機構付の片開き扉を備えている。

走り装置・主要機器

制御装置は上急初の界磁チョッパ方式で、直並列段の制御を担うMMC型主制御装置1台と組み合わせて複巻電動機(定格:端子電圧375V・出力130kw・回転数1,450rpm)8個を制御(但し6両固定のM3車と2両固定のMc車は単Mの為、永久直列)し回生制動を常用しており、冒頭に述べた「省エネ化」「電力の有効利用」を実現した。駆動方式は中空軸平行カルダン(歯数比85/16=5.31)である。
制動方式は、制御装置同様上急初の全電気指令式(HRD-1R)で、空気配管の簡略化を図っている。
台車は3000系以来のSミンデン軸箱支持だが、制輪子を両抱式から片押式に変更している。
補機類は電動発電機(6両固定:110kVA、2両固定:70kVA)と電動空気圧縮機(6両固定:2,130L/分、2両固定:1,590L/分)を備えている。

編成組替・主な改造

輸送需要の変化と経年劣化への対応、使い勝手の向上等を考慮すべく、幾つかの変容が発生している。

固定編成の組替

輸送量の増加により1983年に中間車を増備すると共に、1985〜87年に新たに8両固定編成を増備して6両固定を廃し、組成を8両固定と2両固定とした。その結果、2050系をも含めて1987年に大宮線の全列車を8両(都営非乗入列車の一部は朝夕ラッシュ時に限り10両)編成化を達成した。
8両固定の組成は1位寄からMc1(クモハ7100)-M2(モハ7200)-T1(サハ7900)-M1(モハ7300)-M3(モハ7400)-T2(サハ7000)-M1(モハ7500)-Mc2(クモハ7600)とした。これにより中間車にT1・T2車が加わり、既存のT車は新製当初の計画通りM3車に改造した。同時に6→8両へ組み替えた編成については補機類の吊替(電動発電機:110kVA→150kVA)を実施した。

7000系50番台への改造

都営三田線の保安装置ATO化と各駅のホームゲート供用、東急目黒線をも含めた相互直通運転区間の拡大が2000年に開始され、それに対応する8000系の新製開始に合わせ当型式の一部を同仕様にすべく、1999〜2000年に改造を施した。改造前同様、8両固定と2両固定の各組成が存在しており、台車を除く走り装置を8000系と同等のものに換装し、8両固定については保安装置の換装をも併せて実施した。

新製年次による変化

1985〜87年新製の4〜6次車は界磁チョッパ装置のスイッチング素子を従来の逆導通サイリスタからGTO(ゲートターンオフ)サイリスタに変更し、装置の小型軽量化を図った。

7000系電車後期型

車体についても変更点が生じている。1〜3次車の側窓は前述のユニット構造なるが故か建て付けが悪く、隙間風とバタつきが発生し乗客から不評を買ってしまっていた。その欠点を改善すべく、6000系の設計思想を採り入れ、側窓をアルミ製ユニット構造とした。

現況

当型式は冒頭に記した通り汎用車として製造するも、諸般の事情により大宮線専用車としての増備に留まった。2050系と共に長年大宮線の主力として活躍して来たが、都営三田線における保安装置のATO化と各駅のホームゲート供用、東急目黒線をも含めた相互直通運転区間の拡大が2000年に開始され、それに対応すべく1998年から開始した8000系大量増備の煽りを喰らい、主力の座を同型式に譲った。
2050系の廃車に並行して一部編成の乗入対応解除を実施し、一方で比較的車齢の若い4〜6次車の一部は前述の通り、7050系への改造を実施した。
尚、1〜3次車は2006年以降の20000系70番台増備に伴い廃車が発生し、現存しない。