8000系電車
製造:1998〜2003
製造に至る経緯
1969年に開始した大宮線と都営三田線の相互直通運転は、その後概ね好評・好調を維持し推移した。その折、都営三田線が2000年に区間延伸し、東急目黒線も相互直通に加わると同時に両線内でATOとホームドアを用いたワンマン運転実施により、既存の車両での対応が不可能となった。当初は既存車両の改造にて対応の予定であったが、7000系の改造を最小限に抑制し、老朽化の進んだ2050系の取替を実施する為、新たに設計・製造した車両が当型式である。
新製時の概要
基本的な車体構造は9000系に準ずるが、前頭部の形状に大きな違いが見られる。曲面ガラスを用いた造形は乗入先の都営6300形と東急3000系を意識しているように見受けられる。
車種・組成は1位寄からTc1(クハ8100)-M1(モハ8200)-M2(モハ8300)-T1(サハ8400)-T2(サハ8500)-M1(モハ8600)-M2(モハ8700)-Tc2(クハ8800)の8両固定編成である。M1車に制御装置と集電装置を、M2車に補機類を装備している。
車体・車内設備
軽量ステンレス車体と3色LEDを用いた車内案内表示器、化粧板を用いた座席端の袖仕切等は9000系50番台のものを踏襲しているが、各車両連結部の貫通扉をガラス面積の大きなものとしており、屋根上の通風器を廃し、車外の行先・種別・運用番号表示器に3色LEDを用いる等、差異が見られる。
走り装置・主要機器
走り装置も車体同様9000系50番台に準ずるが、制御装置をIGBT素子・3レベルVVVFインバータ(主電動機4個制御×2群)に、台車の軸箱支持方式をモノリンク式(牽引装置はZリンク式を踏襲)に、主電動機の出力を180kW(定格回転数2,230rpm)に、駆動装置の歯数比を変更(99/14=7.07)する等、差異が見られる。
制動方式も9000系50番台と同様の全電気指令式(HRDA)で、T車優先遅れ込め制御を行なう方式である。4次車以降は電気停止制動を付加し、1〜3次車についても2003年迄に制御装置のソフトウェア改修により付加した。
9000系で初採用した簡易モニタ装置の進化版とした車両情報制御装置、所謂「多機能モニタ装置」を設置している。主たる新たな機能として、運転士による力行・制動等の制御指令の伝送と乗務員業務支援(駅誤通過防止等)、各種機器の制御を挙げる事が出来る。
他の主要機器についてもシングルアーム式集電装置を初採用し、冷房装置能力を従来の一般車標準の48.84kW≒42000kcal/時→58.14kW≒50000kcal/時に増大、それに伴い静止型インバータの出力を210kVAに強化した等の相違点はあるが、それ以外はほぼ9050系に準ずる。
4〜6次車
2001〜03年新製の所謂後期車で、1〜3次車とは各部位に相違点が生じている。
- 車体構造
従来は紐出し加工を施した外板を用いていたが、紐出し加工を廃し側面外観が平板な印象に変化した。。 - 電動空気圧縮機
従来採用の往復動式を回転式に改めた(容量はほぼ変わらず)。 - 車内設備
座席は片持ち式を採用しており、座面と背摺に凹みを付けた形状としている。扉間(7人掛け座席)では荷棚前端から座席下部へ手摺を1本設置し4人掛と3人掛に仕切り、定員着席を促す構造とした。
現況
6年に亘る新製・増備の結果、老朽化した2050系を一掃し7000系を脇役へ追いやり、大宮線の主力として活躍している。相互直通運用は8両固定編成単体で、大宮線内運用は固定編成単体だけでなく7050系の2両固定編成との併結も実施している。
尚、2013〜14年に前面・側面設置の行先・種別・運番表示器をフルカラーLED方式のものへ換装し、ほぼ同時に車内案内表示器のLCD化(従来のLED表示装置と動画面寸法が同じ――列車種別・行先・号車・次駅案内の常時表示が可能な――もの)を実施した。