30000系電車
製造:2018〜
20000系のモデルチェンジ版として設計した汎用車である。
製造に至る経緯
2004年以降、十数年に亘り20000系の増備を重ねた結果、老朽化・陳腐化した3000系と7000系を東上線・池袋口と大宮線から粗方淘汰した。
今後来たるべき6000系列と9000系列の老朽・陳腐化による淘汰を見据え「安全・安心で人と環境にやさしく」をより一層追求する事を基本概念として設計・製造した型式である。
新製時の概要
番台区分(後述する)により車番の付与方法が異なるが、制御車(Tc1・Tc2:クハ)、電動車(M1・M2:モハ)、付随車(T1・T2:サハ)の6車種を組み合わせた8両固定編成が存在する。M1車に制御装置と集電装置を、M2車に補機類を装備している。
尚、東上線用10両固定編成、東上線且つ東京地下鉄有楽町線と副都心線・東急東横線方面との相互直通用8・10両固定編成は、今後の車両需給計画次第により登場予定である。
車体・車内設備(共通項)
20000系同様、日立製作所による「次世代アルミ車両システム(A-train)」を採用しており、戸閉装置と内装については当該型式10次車以降のものを概ね踏襲しているが、袖仕切は金属枠に強化ガラス(柄模様膜貼付)を嵌めた構造とし、車内の開放感増加の一助としている。
番台区分
用途により番台区分が存在する。
- 0番台
東上線用の地下鉄乗入非対応車。
組成は1位寄からTc1(クハ38100)-M1(モハ38200)-M2(モハ38300)-T1(サハ38400)-T2(サハ38500)-M1(モハ38600)-M2(モハ38700)-Tc2(クハ38800)である。
- 50番台
大宮線用の、都営地下鉄三田線・東急目黒線方面との相互直通対応車。
組成は1位寄からTc1(クハ38150)-M1(モハ38250)-M2(モハ38350)-T1(サハ38450)-T2(サハ38550)-M1(モハ38650)-M2(モハ38750)-Tc2(クハ38850)である。
- 80番台
大宮線用の、都営地下鉄三田線・東急目黒線方面との相互直通対応車。で、2019年度内に設定予定の有料座席指定列車へ充当すべく、転換機構付き座席(扉間片側2人掛け×3台・1両当たり18台。車端部は同形状の長手方向固定3人掛け)を採用している。袖仕切は0・50番台よりも大型なものを備えている。
組成は1位寄からTc1(クハ38180)-M1(モハ38280)-M2(モハ38380)-T1(サハ38480)-T2(サハ38580)-M1(モハ38680)-M2(モハ38780)-Tc2(クハ38880)である。
走り装置・主要機器
制御装置は20000系同様の2レベルIGBT-VVVFインバータ(1C4M2群方式)で、M1車に装備している。従来はパワー半導体のスイッチング部にSi-IGBTを、ダイオード部にSi-FWDを用いていたが、当型式に於いてはダイオード部にSiC-SBDを採用(所謂ハイブリッドSiCモジュール)し、Si-IGBTの性能改善によるインバータの損失低減、更に冷却方式の改善をも併せ、装置全体の小型軽量化(20000系に較べ約4割減)を図った。
主電動機は190kwの全閉外扇式4極誘導電動機(定格回転数1,825rpm)を、駆動方式は中実軸TDカルダン(歯数比97/16=6.06)を用いている。
制動方式は回生常用・遅れ込め制御付の電気指令式(デジタル指令・アナログ変換HRDA-1R)で、電気停止制動を併用している。
台車は20000系のモノリンク式軸箱支持装置・Zリンク式牽引装置の組合せを踏襲している。
補機類はM2車に装備しており、電源装置(SIV)が10両固定編成を念頭に置いた容量250kVA(8両固定編成は210kVAに減格)である。電動空気圧縮機(CP)は検修部門からの要望により往復動式(但し独国製・容量1,750L/分)が復活した。
組成車両情報管理・制御伝送装置は伝送方式をイーサネットとし、中継機を介し先頭車の中央装置と中間車の伝送装置・更にはインタフェースユニットから成る通信網を組み、車両間・機器間の伝送速度を100Mb/sに向上している。
現況
0番台は東上線へ配置し6000系・20000系と共に主力として池袋口の地上運用に充当している。50番台は大宮線に配置し8000系と共に都営三田線・東急目黒線方面との相互直通運用に就いている。80番台は50番台と同様だが、前述の通り有料座席指定列車へ充当予定である。